セックス·フレンド【完結】
隆也は続けた。


「そんなときにさ、彼女にもショックなこと言われて、俺、さらに落ち込んだんだよね。プライベートも仕事もうまくいかないって」



「うん…」


プライベートもうまくいかないという彼の言葉がどこか引っかかっていたあたしは、曖昧に言葉を濁す。



「でも、美杉に再会して、俺は救われた。美杉がいてくれて、良かった。」



「…隆也」



そこで彼はあたしの手を握った。



美杉がいてくれて、良かった。


その中には、どういう意味が含まれているのか、あたしにはわからない。


でも、隆也が良かったというなら、それで良い。


あたしは、隆也の骨ばった指を、とても愛おしい気持ちで撫でた。
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