セックス·フレンド【完結】
「クリスマスは、ごめんな」


その一言で、隆也の指を撫でていたあたしの手が止まる。


「仕方ないよ。だって、あたしは…」



恋人じゃないもの。


言いかけて、ぎゅっと唇を噛み締めた。


あの日の記憶が鮮明に蘇る。


鼓動が早くなる。


言い訳なら、今さら聞きたくないと思った。


どうせ言い訳するなら、あの日にしてほしかった。


たっぷり時間がたったあとにする下手くそな言い訳なんて、余計に嘘を際正せる。


でも次の瞬間、隆也が言ったのは、まったく予想もしていなかったことだった。
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