セックス·フレンド【完結】
「美杉、そういう人いるの?」


「…そういうって?」


「だから、結婚を考えるような人」


「まさか!」


あたしは即座に否定した。


「まさか!ただ、詩織を見て羨ましくなっただけ」


「本当かなぁ?」


「本当、本当。仮にそんな人がいたら詩織に秘密にするわけがないもの」


チクリと胸が痛む。


「ならいいけど…。ところでさぁ、美杉…」


そこで詩織は、言いにくそうに言葉を詰まらせた。


「古谷君とは、まだ続いてるの?」


聞かれたくない部分に触れられ、あたしは、すぐに返事ができなかった。


まったく無関係だと言うには、ちょっと苦しい。


それであたしは、


「たまにメールするくらいかな」


そう答えた。
< 165 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop