セックス·フレンド【完結】
こんな風にあたしは隆也に抱かれるたびに、正確には、彼にホテルで抱かれるたびに、まだお前を完全に受け入れたわけじゃないと言われているような気がした。


もしかしたら、隆也は待っているのではないだろうか?


また、竹内ミキと暮らせる日がくると信じているのではないか?


だとしたら、そんな日が来てしまったら、あたしは…。


隆也の穏やかな寝顔を見ていると、息が苦しくなった。


呼吸の仕方さえ忘れてしまうほど、頭の中がぐちゃぐちゃに混乱してしまう。


そんなことはない。もう2人は終わっている。


そう言い聞かせても、どこか無理がある。


こんなにも無防備な姿をさらしておきながら、あたしを受け入れようとしない愛おしい人。


たまらずあたしはベッドを抜け出し、バスルームへ駆け込む。


シャワーを全開にして、こらえていた嗚咽を吐き出した。


自分が寝たあと、あたしが、こんな風に時間を過ごしていることに、でも、隆也は気づいていない。
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