セックス·フレンド【完結】
「ずっと連絡できなくてごめんな。色々忙しくて…」


色々って、なんだろう?

この半月ばかりの沈黙を、あたしがどれほど重く受け止めていたかなど彼は少しもわからないのだろうか。


口にしたい不満はいくらでもあった。


でも、言えない。
あたしの立場は、弱い。


「元気よ。あたしも忙しかったの」


気持ちは穏やかではなかったが、あたしは、結局、隆也のペースに合わせてしまう。


ほとほと自分に呆れていると、ところでと、隆也が話を進めた。


「ところで、美杉今日休みでしょう?実はお願いがあるんだけど…」


そこで隆也が申し訳なさそうに声を潜めた。


隆也がお願いなんて珍しい。はて、なんだろう?


これまで隆也に気を取られていかけれど、よく耳をそばだててみれば、ずい分と周りが騒がしいようだ。


どこからかけているんだろう?


「なぁに?あたしにできることなら何でも言って」


結局、そう言ってしまう自身の甘さ。惚れた弱み。
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