セックス·フレンド【完結】
膝ががくがくと笑ったように震え始めた。


じっとりと嫌な汗をかき、歯がカチカチと音をたてる。


何かの間違いだ。
人違いだ。


そう思って、一度目をとじ、大きく深呼吸をした。


それから、ゆっくりと目を開き、再び目の前の写真を見つめた。


でも、写真に写るのは紛れもなく隆也だった。


間違いであってほしいと思った。


あたしは、隆也を思うばかりに可笑しくなってしまったのだと。


でも、何度見ても間違いではなかった。


間違えるはずもない。



他のカップルたちと同じように、はにかんだ笑顔をこちらに向けながら指輪をはめた手をかざしているのは、あたしの一番愛しい男なのだから。
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