セックス·フレンド【完結】
17
気がつけば、あたしは、竹内ミキの働く携帯ショップに来ていた。


「いらっしゃいませ…。み、美杉?!どうしたの?」


たまたまドアのそばにいた詩織が、あたしを見て驚いた声を出す。


「ずぶ濡れじゃない?傘、持ってないの?」


詩織は、慌てて店の奥へと踵を返した。


ずぶ濡れ?


言われてドアの外を見ると、バケツをひっくり返したような雨がアスファルトを激しく打ちつけている。


いつ、雨など降り始めたのだろう?


どうやって、ここまできたのだろう?


ジュエリーショップを出てからここまでの記憶が、抜け落ちていた。


ぽたぽたとしたたる水滴が、あたしの全身から流れ落ち、フロアに水たまりをつくる。


けど、そんなことはどうでもいい。


どうでも…。


あたしには、それより大切な、確かめなくてはいけないことがあるのだから。
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