セックス·フレンド【完結】
否定しないことが答え。詩織はそう解釈したのだろう。


「そんなことをしても、何もならないって、どうしてわからないの?」



詩織が大きくため息を吐く。


「何にもならない?ならなくなんか、なかった。それがきっかけで2人は別れかけたじゃない!」

反抗期の子供のように癇癪を起こすあたしに、詩織は怒鳴った。



「でも、別れなかった。2人は結婚するの!」


そう言われて、言葉が出ない。


「もう、やめてよ。もうだめなんだよ、美杉」


放心するあたしを、詩織がそっと抱きしめた。


「まだ…わからないじゃない。だって、隆也言ったもの!あたしが必要だって!きちんと考えるって!」


そんなわけがない。詩織に、あたしと隆也の過ごした時間の何がわかるというのか。


あたしたちは、愛し合っていた。


あんなにたくさん抱き合った。


そうして、時間をかけて、ゆっくりと歩み寄ったのだ。


なおも悪あがきをするあたしに、詩織はきっぱりと告げた。


「これが、古谷君の答えなんだよ」


そう言った詩織の目も、赤く腫れていた。


「美杉とたくさんセックスして、病気になったら看病してもらって、散々期待させるようなこと言っておきながら、竹内さんと婚約する。それが、古谷君の出した答えよ」


それが隆也の答え


何も言い返せなかった。
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