セックス·フレンド【完結】
そこから、長い長い沈黙が続いた。


永遠とも思えるほどの長い沈黙。


このまま彼が何も切り出しさえしなければ、あたちたちは、ずっと、繋がっていられるのかもしれない。


それなら、いっそ、そのほうがいい。


けれど、悲しみと絶望は、確実に近づいていた。

あたしは、電話越しに伝わる隆也の呼吸に耳をそばだてる。


息づかいすら、懐かしく、愛おしい。


「俺…」


たっぷり時間を置いたあと、隆也がとうとう口を開いた。


「俺、結婚するんだ」


鼻の奥がつんと痛い。
目が熱くなり、上を向くと、丸い月がいびつに歪んだ。
< 257 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop