セックス·フレンド【完結】
「言わなくちゃいけないと思ってた。でも、言えなかった。もし、今日美杉から電話がこなかったら、一生黙っているはずだった。俺は、美杉が考えるより、ずっと卑怯で弱い」


そこで、隆也は口をつぐんだ。


「相手は、竹内さん?」


隆也が電話の向こうで驚いているのがわかった。


「詩織って覚えてる?あたしと大学の同じだった。背の高いきれいな女の子」


「…あぁ。なんとなく」


「彼女、隆也の恋人と同じ職場で働いているの」


そこで、隆也は観念したように大きく息を吐いた。


「じゃあ、美杉は何もかも知っているんだな?」


「ごめんなさい」


「いや、美杉は悪くないよ。きちんと、話すよ。俺の口から」



聞きたくない。何も知りたくない。


そう思いながらも、意に反してあたしは、携帯をいっそう強く押し当てた。
< 258 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop