セックス·フレンド【完結】
【パニック障害】


それが、あたしに与えられた病名だった。


仕事に行かなくなってから、あたしは、薬に頼らなければ眠ることができなくなっていた。


両親はとても心配し、特に母はあれこれ詮索しようとした。


そんな両親の愛情すら、うっとおしかった。


誰にも会いたくないし、話したくもなかった。



隆也以外には。


でも、それももうできない。


何度電話をかけようかと思ったかわからない。


けど、できなかった。


また、隆也から連絡がくるのをどこかでは期待していた。


もしもまた、やはり美杉でなくてはならないと言われたら…。


あたしは受け入れるだろう。


でも、待てど暮らせど、そんな連絡はこない。



隆也を忘れることもできず、かといって、彼を忘れられない自分受け入れてることもできないあたし。


悔しかった。


なぜ、あたしだけが苦しまなければならないのだろうと腹が立った。


きっと、竹内ミキは今頃幸福の絶頂にいるに違いない。


そう考えると、頭がおかしくなりそうだった。
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