セックス·フレンド【完結】
けど、これがいけなかった。


銀杏の絨毯に感動した次の瞬間には、隆也のことを思い出していた。


彼と紅葉を見に行った日のこと。


色づき始めた木々の描いたグラデーションと、小川のせせらぎ。交わした甘いキス。


思いが、洪水のごとく溢れて、あたしは息が苦しくなった。


立っていられない。


胸を押さえてその場にしゃがみ込むと、目の前がチカチカ燃えているように火花が走った。


まずいかもしれない。


あたしは、よたよたと近くのベンチまで歩き、もらったばかりの薬に手を伸ばした。
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