セックス·フレンド【完結】
「こんなとこで、何してるの?」


こみ上げる吐き気をこらえていると、頭上から声がした。


はっとして顔を上げる。

「やっぱり、みぃたんだ」

そこにいたのは、西村君だった。


「ちょっと、散歩してたら具合が」


あたしは、薬の入った袋を慌てて後ろに隠した。

「散歩?うちの大学を?」


ああ、そう言えば西村君はここの大学へ通っていたんだっけ。


「銀杏があまりに見事だったからね。つい」


言い訳したあたしを、「ふぅん」と西村君が訝しそうに見ている。


「じゃあ、あたしはこれで」


気まずくなって立ち去ろうとした時、激しいめまいを感じ、がくりとよろめいた。
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