セックス·フレンド【完結】
「奪っちゃいなよ?」


「えっ?」


西村君の言っていることが理解できず顔をあげた。


「泣くほど好きなんでしょう?死ぬほど辛いんでしょう?死ぬくらいなら、奪い返せばいいじゃん」


バーゲンセールでどちらの洋服を買うべきか悩んでいる時に、「両方買えば」とでも言うような軽い口調。


「な、何言ってるの?無理に決まってるじゃない?」


「なんで?」


「だって、結婚するし…。それに子供だって…」

口ごもるあたしに、


「なら、愛人になればいいじゃん?」


と西村君。


「ふざけないでよぉ…」


さすがに腹が立った。


話さない方がよかったと思った。


あたしがこんなに苦しんでいるのに、まさか茶化されるなんて思わなかった…。
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