セックス·フレンド【完結】
友人の披露宴へ出かけると言うあたしの嘘をあっさりと信じた母は、「楽しんできてね。具合が悪くなったら連絡するのよ」と、しきりに心配しながらも、半ば引きこもり状態だった娘の外出を喜んでいた。


両親には、ずい分心配をかけてしまった。


素直にそう思える。



「ありがとう。ママ」


久しぶりに母へ向けた優しい笑顔。感謝の気持ち。


気分は、なぜか穏やかだった。


家の近くまで迎えに来てくれた西村君の車に乗り込み、披露宴の行われるホテルへ向かう。


「みぃたん、すごくきれいだ」


西村君はそう言ったきり、あたしが何をしようとしているのか聞かなかった。



彼にもまた、感謝している。


あなたがいてくれて、良かった。
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