セックス·フレンド【完結】
「そっか…」


あたしの体から腕を離し、西村君が力なく笑う。


「そうか、じゃあ、仕方ないね。あ~あ。すっきりした。ようやく自分の気持ちをぶつけることができた…。もう、これで思い残すことはない」


無理に明るく振る舞っているのは明らかだったけれど、下手に慰めて期待させるべきでないのを、あたしはわかっていた。


「ごめんなさい…」


「いや、いいんだ」


西村君はふっきれたように強く言い、ハンドルを握った。


「あたしたち、これからは…」


咄嗟に口にしたものの、それ以降の言葉が出てこなかった。


これからはいい友達?


それとも、前みたいなセックスフレンド?


どちらも、あまりに残酷だ。


こうなってしまった以上、あたしたちに、これからなんて…。
< 309 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop