セックス·フレンド【完結】
「もう、会わないほうがいいね」


察したように西村君が告げた。


「俺は、もうみぃたんに会わないし、連絡もしない。彼女だけを見つめていく。それでいいね?」


いやだ、なんて言えるわけがなかった。


あたしが静かに頷くと、西村君も同じように頷く。


「送るよ」


西村君はそう言ったが、あたしはそれを断った。


「ううん、ここで。サヨナラ」


隆也には言えなかったサヨナラも、西村君には言えてしまう。


これが、本命とセックスフレンドの違いなのだろうか?


西村君の切なそうな視線を背中に感じながら、あたしは、車を降りた。


見送るあたしに、西村君はこちらを見ることなく去って行った。


彼の車が見えなくなるまで、あたしは、その場に立ちすくんでいた。
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