セックス·フレンド【完結】
「今日、結婚式だったんだ」


隆也ははっきりと告げた。


こうして彼の口から聞かされると、まるで死刑宣告をうけているような気分がする。


けど、あたしは「おめでとう」と、言った。


「ありがとう」


と、隆也。


沈黙。


どちらも、何も切り出せなかった。


「もしかして…」


と、長い沈黙を先に破ったのは隆也だった。


「もしかして、美杉…。その…」


何の電話だろう?彼は何がしたいのだろう?


そう思っていると、隆也はようやく重い口を開いた。


「俺の披露宴会場に、いたりしなかったよな?」

探るように、怯えたように、隆也が訪ねた。


胸が激しく波打った。


あたしは、なんと答えたらいいのだろう。


ええ、いたわ。見届けたわよ。


そう答えることもできた。



でも、結局あたしは…


「何ばかなこと言ってるの!悪いけど、あたし今デート中なの。そんな電話なら、もう切るわよ?」


そう嘘をついた。
< 312 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop