セックス·フレンド【完結】
かじかんで赤くなった指先をこすりあわせながら、あたしは思う。


きっと、あたしは、また恋をするだろう。


隆也以外の誰かを好きになる日がくるだろう。


一人の男に人生を捧げるなんてばかげているし、もう二度と恋などしないと誓うには、若すぎるのだから。


けれど…。


手をかざし、舞い落ちた一粒の雪を握りしめ、あたしは決めた。


次に好きになる人を、隆也のようには愛さない、と。


愛することで自分を痛めつけるような恋はごめんだ。


自分だけじゃなく、周りをも傷つけてしまうような激しい恋は、もう二度としない…。



握りしめた手の中で、雪はとっくに溶けて消えている。


あたしは、また、雑踏の中をとぼとぼと歩き始める。
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