セックス·フレンド【完結】
リビングからは、テレビの音と父の笑い声が聞こえてくる。


どうやら、母は、この会話を父に聞かれないように気を揉んでいるらしい。


「何人って、あたしは誰とも…」


「なら、今日送ってくれた人は誰?うるさい車で時々送ってくる人は誰なの?」


母は、まるで汚いものを見るような目で、あたしを睨んだ。


「別に、友達だよ」


捕まれた腕を振り払おうとしたが、母は、さらに力を込めた。


「美杉、ママ恥ずかしいよ。いい年した娘が仕事もしないで、色々な男と遊び歩くなんて!情けないわよ!」


母は涙目で訴えた。


「ほっといてよ!」



あたしは、今度こそ母の手を振り払い、階段を駆け上がった。
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