セックス·フレンド【完結】
部屋へ戻ったあたしは、着替えもそこそこ、すぐにカバンから携帯を取り出し電話をかけた。


たったツーコールで、その人は電話をとった。


「もっしもーし!」



電話の相手は、高校·大学と同じだった友人の詩織。


「あれ?美杉ちゃぁん?」


詩織の元気な声が耳に響いたとき、あたしは、なんだか救われた気がした。


「もっしもーしじゃないわよ。元気だった?」



「久しぶりじゃん。元気だよ!私もベイビー君も」


詩織は、最近三人目の子供を産んで、今は産休中だった。


女兄弟で育ち、上二人も女の子だったから、今回生まれた待望の男の子を、とても可愛がっている。


「産休終わる前に遊びにきてよ~。美杉、病院に一度きただけで、あとは音沙汰ないんだもん。冷たいなぁ」


「ごめん、ごめん。色々忙しくてさ」


「色々って、まさか男かぁ?」


「うん。そのまさかなんだけど…」


「なにぃ?!とうとう彼氏ができたか?」


やたらとテンションの高い詩織に気圧され、あたしは、なかなか本題を切り出せない。
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