セックス·フレンド【完結】
さりげなく時計を見ると、まだ8時を過ぎたばかりだった。


もしも、あの電話がこなければ、あたしは、今頃、隆也の腕の中にいた。


そう思えば、さっき名前を知ったばかりの竹内ミキが憎らしくてたまらない。


いいや、そんなことを考えるのはやめよう。


ベッドに寝転び、あたしは今日の出来事を順番に頭の中で巡らせた。


デニムのパンツからの伸びた隆也の長い脚。


シャツから盛り上がったたくましい胸。


繋いでいた手の温もり。


色付き始めた木の葉が描くグラデーション。


幾度となく交わした甘く切ないキスの味…。


でも、隆也は帰って行った。


竹内ミキの待つアパートへ…。
< 91 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop