セックス·フレンド【完結】
近くにあったクッションを掴み、思い切り投げつけた。


クッションは、テーブルの上に置かれた細長いガラス製の一輪挿しをかすめて床に落ちた。


ガチャンというけたたましい音が鳴り響き、一輪挿しが割れる。


その刹那、風船みたいに膨らんだ好奇心が、ぱちんとはじけた。


隆也を独占する恋人の顔が見てみたい。


その存在を知った日から、密かに温め続けた思いは、もはや止めようがなかった。


いや、やめた方がいい。


一方で、あたしの中に残る冷静なあたしは、そう止めた。



そんなことをしたら、また同じ過ちを繰り返すだけだと。



けれど、この時すでに、あたしは、竹内ミキに接触するためのシナリオを頭の中に描きはじめていた。
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