犯人はお嬢様

逃げよう、私

自室に戻り、私はジャージに着替えた。



「ちょっと栗原も私が犯人だと思ってるの?」
「いいえ、違いますよ」





栗原はシーツを何枚も持って、ずっとなにかしている。
しかも目線は私のほうではなく窓を見ている。





「嘘よ、思ってるから私をあのおっさん二人に預けるつもりなんでしょ?」




私は手を組み、少し泣きそうになっていた。






「お嬢様」



私は呼ばれて、栗原のほうを見る。






すると栗原は・・・ヤンキー座りをして両手を後ろにし、手首を動かしている。





「なに?」
「おんぶです、お嬢様」
「いや、だからなんで?」





こんな状況でおんぶ?






「時間がないんです、早く」






・・・・・






とりあえず、どうでもよくなったので栗原の背中によりかかった。
栗原は「よいしょ」と言って私をおんぶする。



見た目はきゃしゃな身体だがしっかりしている。





「ではしっかり掴まっていて下さいね」











栗原の頭から少し自分の頭をずらして前を見た。
すると、目の前の窓が開きシーツが地面に向かって落ちた。



シーツが綱になっている。
栗原は何枚もあるシーツを綱にしていたのだ。







そして、映画の1シーンのように窓から私達は逃げた。
シーツを伝い、下まで降りた。






栗原は地面に足が着くのと同時に私をゆっくり降ろし、私の手首を掴んで走った。





「く・・・栗原・・・・」
「お嬢様、お嬢様は私を信じますか?」
「な・・・なんでよ」
「私はお嬢様の無罪を信じます」











「私も栗原を信じる・・・・!!」












私の目からは溢れんばかりの涙が零れていた。




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