虹愛女学院前編
私を冷たい目で見ている沖田さん。あぁ〜気まずい…。穴があったら入りたい…。
「あ〜あ。アイツが川崎さんを選ぶ理由が分からないよ…。」
あくびをしながら言う沖田さん。
「アイツって…?誰?」
「アイツはアイツ…。川崎さんにドライアイスをぶっかけた担任。」
「ど、どうしてその事を!?」
私が質問したら、沖田さんはクスクス笑いながら、胸ポケットから小さな手帳を取り出した。
「私は新聞部長、沖田鈴獰よ。校内の情報くらい簡単に集められるんだから。ね、片山。」
話の後半は10メートル位離れた所のフェンスに寄り掛かっている人にむけられた。あれって…
男!?
男子が近づいてくる。
「まあね。沖田さんよりも情報を持っている人はこの世界にはいないんじゃないかな?」
身長は170センチは余裕で越えていて、黒い眼鏡、黒い学ラン…。
あれっ?学ランの袖に縫った跡がある…しかもギザギザに…。
「片山ってお世辞が上手いね。あ、紹介するわ、川崎さん。こちらは姉妹校である空愛高等学校、情報部長の片山 千君よ。」
「片山です。宜しくね、椿ちゃん。」
片手を差し出す片山君。私は片山君と軽く握手した。
あ、なんかかっこいいかも…。
女子校だからさ…男子見ないじゃん(先生は除外)…。だからかな(笑)。
「自己紹介はこれくらいにして…。川崎さん、私が呼び出した理由…分かる?」
あ、そうだったんだ。私、沖田さんに呼ばれたんだ!
「やっぱり…ドライアイスの件ですか?」
「いいえ。その事は、私の力を使えばすぐに解るわ。一時間がタイムリミットって事だって知っているんだから…。」