カレの愛は増すばかり。
いかにも心配そうに眉尻を下げて待ってくれていた月瀬さんに、私は軽く会釈をしつつ先程の場所へ座る。
「すみません。お待たせしました。」
「火傷とかは…、」
「大丈夫でした。汚れた服も大したものではありませんし。」
「良かった…。」
心底ホッとしたように胸を撫で下ろすと、月瀬さんは誰もがうっとりしそうな甘い笑顔で言った。
「貴女のその白く美しい肌にもし傷でもついてしまったらと思うと、僕は生きた心地がしませんでした。」
「はぁ…。あはは。」
いや、ホントキモい。
私は乾いた笑いであしらうと、気を取り直して、もう一度先程の話の続きへと話題を戻した。
「ところで、あの、さっきの話なんですけど…。」
「あぁ。僕の年齢ですよね?
すみません。長く生きているとどうにも忘れてしまって。」
「長く、生きてこられたんですか…?」
「そうですね。先程数えてみたんですけど、221歳でした。」
「にひゃ…っっ?!」
再び現実離れしたセリフが飛び出して、思わず声が裏返ってしまう。
落ち着け、落ち着け。
だからあり得ないって。
「あの…、冗談がお好きなんですね。」
「冗談?いえ、確かに冗談は嫌いじゃありませんが、今のは至って本気ですよ。」
「だってそれじゃあ…、」
まるで、
「まるで人間じゃない?」
その瞬間、月瀬さんは私が心の中で思ったことの続きを正確に口にした。