カレの愛は増すばかり。
その割にはどこか嬉しそうに尻尾を立てて、先をゆっくり揺らしている。
油断のなら無い猫だな。
「……この変態猫。」
「だから違うって言ってんだろ?!
大体変態はお前の方だろうが!すぐ色恋に結びつけるんじゃねぇ、エロガキッ!!」
「僕より100年ちょっと長生きしているだけで、大人ぶらないでほしいな。」
「お前こそ200年生きてる割にはガキだな。ガキ。
お前がご執心のあのお嬢ちゃんの方がよっぽど大人だ。」
ベーッと舌を出すと、クローシュはそっぽを向いた。
どっちがガキだか、と思うけれど、クローシュの言っていることもあながち間違ってはいない。
僕は、生まれた時からずっと変わらない。
身体ばかり大きくなって、中身は成長しないままだ。
「今更君に言われなくても、重々承知しているよ。」
自嘲気味に笑うと、僕は安物のマントを翻してクローシュに背を向けた。
「…ルイ。お前また来るんだろう?」
クローシュの少し遠慮がちな声が、僕の背に投げ掛けられる。
本当に甘いなぁ、君は。
「あぁ。勿論来るよ。
その時は君にも、何かお土産を買ってこないとね。『銀のス●ーン』の“毛玉ケア”でいいかい、クロ?』
「てめぇ…。覚えてろよ?今度会った時はその顔、八つ裂きにしてやるっ!」
「じゃあ僕は、その愛らしい耳を喰い千切ってやるよ。」
シャーッと毛を逆立てて威嚇してくるクローシュに、僕はうっすら牙を覗かせて笑った。
今度ここに来たら、僕は必ずあの子を手に入れる。
あの子を手に入れる為なら、どんな手段だって厭わない。
貴女がここに拘るなら、貴女の望み通りにしてあげるよ。
ねぇ、僕は貴女を愛してる。
だから貴女も、どうか僕を…