カレの愛は増すばかり。
3
その日、私が目を覚ましたのは、トラックか何かが積み荷を下ろす時の荷台の開閉音がきっかけだった。
謎のコスプレ外国人、月瀬さんがウチを訪ねてきて、二週間程経った日曜日の朝。
今日は学校もバイトも休みだからゆっくり眠れると思っていたのに、外から響くなんとも大袈裟な音が私の睡眠の邪魔をした。
一度大きな欠伸をしてリビングに掛けてある時計を見に行くと、まだ8時を少し過ぎた頃。
ウチは只でさえ壁が薄いんだから、こんな時間に勘弁して欲しい。
玄関のドアを少し開けて一体何事かと外を確認すると、下には『引っ越しのサ●イ』とデカデカと書かれたトラックが止まっている。
誰か引っ越して来たのだろうか?
もう少しちゃんと見ようと適当なサンダルを履いて外に出ると、階段の下から聞き覚えのある声がした。
「あぁ、大家さん。おはようございます。
今日から宜しくお願いします。」
甘い低音に、少し爽やかさがプラスされている。
んっ?!
何時もより騒がしく音をたてて階段を駆け下りると、私の部屋の調度真下、大家さんの部屋の前に、美しい金髪があまりに目立つ後ろ姿があった。
「つ、月瀬さんっ?!」
思わず月瀬の“瀬”の部分が裏返りつつも、私はその人物の名前を呼ぶ。
ゆっくりと振り返ったその人は、私の姿を確認した瞬間、深い青緑色の瞳を宝石の様に輝かせて言った。
「お嬢さん!会いたかった…っ!!」
それと同時に、ガバッと抱きついて耳にキスをする。