カレの愛は増すばかり。
「ひゃあ…っ!」
「可愛い声。」
ゾクゾクッと背筋を走る気色の悪い感覚に、私は月瀬さんの腕の中で身震いした。
キモい…!
私は月瀬さんを無理矢理引き剥がすと、月瀬さんの長身のせいで調度隠れている大家さんを、背伸びをして彼の肩越しに覗く。
「大家さん!どういうことですか?!」
「あら、それはこっちの台詞よ。
清岡さんに外国の親戚の方が居たなんてね。」
『お父様の弟さんの奥様の末の弟さんなんでしょ?』と、大家さんは笑った。
なんだその遠すぎる親戚は…?!
そもそもお父さんに弟なんていない!
月瀬さんをキッと睨み付けると、それすらも愛おしそうに見つめる。
ダメだ、この変態。早くなんとかしないと…。
「どういうつもりですか…?」
「どうもこうも、貴女がここを出たくないなら僕がここに来ればいいと思いまして。」
「ここに来ればいいって…、確かこのアパートは全室埋まってたと思いますけど。」
「えぇ。そうですね。」
ニコニコと害の無さそうな笑顔を浮かべて、月瀬さんは肯定する。
まさか…、
「月瀬さーん!このソファー、どこに運びますかー?」
「あぁ、その真上の角部屋まで。」
私の思考を遮って投げ掛けられた引っ越し業者と見られる男の人の声に、月瀬さんは当然のようにそう答えた。
あぁっ!やっぱり…!!