カレの愛は増すばかり。

「………何これ。」

「何って、ソファーです。しかも女の子の憧れ、猫脚のソファー。二人がけのものを買ってみました。」

「か、買った?!買ったって、わざわざですか?」

「ここ、ソファーなかったので。」

「だって畳にソファーっておかしいじゃないですか!」


シンプルな白に金色の猫脚がついた洋風のソファーは、明らかにこの畳の部屋で浮いている。

しかもテーブルを挟んだソファーの調度正面にも、元々あった小さな中古のテレビの代わりに、大きな薄型テレビとこれまた白を基調としたオシャレなテレビ台が置かれている。


「…まさか、このテレビとテレビ台も買ったんじゃ、」

「それだけじゃありませんよ。ほらっ!」


月瀬さんはテレビ台に駆け寄ると、金の取っ手がついた扉を開けて中を見せた。


「…それは一体、」

「Blu-ray対応DVDプレーヤーと、お嬢さんの好きなB級ホラーBlu-rayディスクセットです。
ちなみにB級ホラーは、選りすぐりのものを全部で20作品用意しました。」


な、何故私がB級ホラー好きなことを…?!

しかもスプラッタからサイコホラーまで幅広く見る私の好みを、完璧にカバーしている。


余りのことにポカンと口を開けてそれらを見つめていると、月瀬さんは得意そうな表情で私を覗き込んだ。


「どうですか?お嬢さん。
僕と暮らせば、これらが全て手に入りますよ?」

「べ、別にこんなの要りませんけど。」

「フフ。声が震えてるな。可愛い。それにホラー好きのくせに一人で見れないから、最近は全然見てないんじゃないですか?
その点、僕が居ればいつでも一緒に見ることができます。」

「な、何でそんなことまで知ってるんですかっ?!」
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