カレの愛は増すばかり。
「あ…。」
そうだ。月瀬さんだ…。
頭の中でカチリとつじつまが合う感覚がして、まだそのまま固まっている月瀬さんから体を離した。
「月瀬さんって…、この間私が手紙を出した?」
「…!思い出してくれました?!」
「はぁ… まぁ、」
急に嬉しそうに顔を輝かせる月瀬さんに圧倒されつつも、私ははっきりしない返事をする。
しかし月瀬さんにはそんなことは関係ないようで、私の手をきゅっと両手で握るととんでもないことを口にした。
「では、改めまして…」
「…?」
「初めまして、お嬢さん。
貴女の新しいお父さんです。」
「はっ…?!?!」
キラキラと、多分女性なら誰もがうっとりするような笑顔を浮かべて、月瀬さんは私の頬にチュッと軽くキスをする。
しかしこんな、世界中の女性から嫉妬と羨望の眼差しを受けるような状況で、私の表情は口をポカンと間抜けに開けて固まっていた。
急になにを言い出すのだろう、この人は…。
もしかして日本語分からないのかな。
なんて、またもや月瀬さん外国人説が浮上しつつも、藍色の空はだんだん白んでいって、遠くの方でチュンチュンと名前も知らない鳥が囀っていた。