桜琳学園(仮)




いきなりのことで頭がパニックを起こしているらしい

目の前にいる50代後半の男性、もとい近江繁…おじいちゃんはニコニコと優しげな笑顔を向けてくれている



「私におじいちゃんいたんだ?
ってか、お母さん以外に身内がいたことに驚きを感じるんですが…?」



「れいら!!」



なんとか今の状況を理解した瞬間、
私の口から出た言葉は嫌みに感じるものだった

それをお母さんが叱咤する


「私さ、お金持ちの人ってキライなの…」



前に座る近江 繁をしっかり見ながらキツイ口調で言う



「あなた、近江グループの会長さんですよね?
テレビで何度も見たことがあります
世界的にも有名な貴方が
こんなとこに何の用が?」


お茶を一口飲んでから静かな声で問う



近江グループと言えば世界中で知らない人はそういないだろう

若くして社長になった近江繁は
周囲の目を気にすることなく
優れた経営力でみるみる会社を大きくし
今や世界を代表する企業へと成長させた男なのだ
ITにレジャー…私にはよくわからない分野まで幅広く手がけているらしい
所詮!私の持つ近江グループの情報なんて
メディアが伝えているものしかないのだが



「なかなか冷静だな
初めまして、近江繁です」



質問を一切無視して自己紹介をし出す会長

私はそれにはなんの態度も示さず
質問の答えを待った



「はあ、実はな










お前たちを連れ戻しに来たのだ」


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