桜琳学園(仮)




だいぶ気が落ちているのか、不安なのか
お母さんは目を潤ませて縮こまっている


「今、全部教えて?
一度に聞いた方がラクだし
頭の中整理しやすいしね」


病んでいた気持ちを切り替え
毅然とした態度の
私の言葉に安心したのか、さっきまで近江がすわっていた場所に腰掛けた





ーーーー10年前ーーーーーーー


 愛染勇也が、私のお父さんが亡くなった
動物が大好きだったお父さんは、
仕事の帰り道、車にひかれそうになった子犬を助けようと飛び出し
死んでしまったのだ

別にお父さんの事バカだなんて思わない

むしろ子犬を助けたお父さんを誇らしく思う

お父さんとお母さんは駆け落ち同然で結婚したそうだ

私が出来たことで結婚しようと近江の所へ挨拶に行ったが
なんせ目に入れても痛くないほど可愛がっていた一人娘を
嫁に出すなど許せん!!と
お父さんは門前払いをくらった

それから何度も何度も足を運んだが
許してわもらえず、お母さんのおなかは大きくなるばかり

中絶しろと言われてついに二人は家を出たのだ

無事に私も生まれ
平和な毎日が続いたが
お父さんが亡くなって数日たってから
近江から連絡があったそうだ



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