桜琳学園(仮)
呆然と見ている私と
いきなり現れた車を警戒するかのように私の前で臨戦態勢をとる2匹のかわいいワンコ
ベンツの後部座席の扉が開いて、1人の青年が降りてきた
制服を着ているところを見ると、どうやらこの人が案内人のようだ
「愛染麗羅さん?
初めまして、生徒会副会長をしています
大山 李希ーオオヤマ リキーです」
にこっ
ゾクゾクっ…
体中に悪寒が走った
この人…大山副会長は、ただ笑っただけなのかもしれないが
無理やりつくられたかのような
仮面のような笑顔に吐きそうになった
今まで周りの人は何も言わなかったのだろうか?
こんなの、周りの人も良い迷惑だわ
あぁ、本当に気持ちが悪い
「愛染さん?具合でも悪いんですか?」
今度は心配してます
みたいな顔…
余計に具合悪くなるっての!!
「いえ、平気です
新入生の愛染麗羅です、よろしくお願いします」
頭を下げて挨拶をした
見た目は礼儀正しいように見えるかもしれないが…いや、そう見えるようにしたのだから、思ってもらわないと困るのだが、、、
まぁ、実際のところ顔を見ていたくなくて頭を下げただけのこと。
「理事長のところに案内するように言われているんだが、取りあえず学園までいこう」
大山先輩は私の荷物を持ち上げながら、止まっている車の後部座席の扉を開けた
先に荷物を車に乗せた先輩はこっちを振り返り
少し困った顔をした
「…これは、ほんもの」
「え?」
やばい、声に出てた?!
「いえ、何でもないです
どうかしましたか?」
慌てて何でもないことを示し、どうしたのかと問うた