桜琳学園(仮)
「全然重くないですよ
というより、足の感覚がほとんどないので重いとか痛いとかわからないんです…」
なんともないというように
笑顔で答える私に先輩がどう思ったのかは分からないが
”そうか”とだけ言い前を向いてしまった
そこからは誰も喋らない無言の状態が続き、数分間車は走っていたのだが
景色は最初から何一つ変わらず木が立ち並んでいるだけで…
「寂しいところ…ってか、迷子になりそう」
「確かに慣れてない人間が森の中に入ったら迷子になってしまうかもね
愛染さんは気をつけてね」
自分の考えに返事が返ってきたことに驚き前をみると
ミラー越しにまたあの嫌な笑顔を浮かべていて
瞬時に体がぶるっと震え、すぐに目をそらしてしまった…
次に聞こえてきた声はそれから5分経ったころにした
”着きました”という運転手の声だった
助手席と運転席の扉が開き二人が降りた後、今度は私の横の扉が開いた
予想通り、扉を開けたのは大山先輩で…
その後ろでは、”ソラ”を運んでくれている運転手の姿が見えた
私は先にフーとムーを降ろして、先輩の手を借り”ソラ”に移った
「先輩、ありがとうございます
運転手さん、ありがとうございました」
先輩にお礼を言った後、次いで運転手にもお礼を言った
運転手は数秒程呆然とした表情を浮かべてから、しっかりと45度を保って礼をしただけだった
荷物を膝の上に乗せてもらい、先輩が向かう方向に私も進みだした