桜琳学園(仮)
理事長は私の問いかけに対し、なんだそんなことかと、目を開いた。
「空色が好きなんだろ?」
「・・・は?」
目の前に座るこの人が何を言っているのか瞬時に理解することが出来なかった私は間抜けな言葉を放っていた。
「麗羅様、これは身内贔屓です。
失礼ながら、ここにおられる近江 繁というお方は、片や世界を又にかける財閥の会長でありながらとてつもない変態でございます」
「・・・は?」
会話の成り立っていない私たちの話をただ聞いていた竹中が口を開くが、またも私の口から紡ぎだされたのは間抜けな返事。
「ひどいではないか、竹中。変態などと」
「孫娘の盗撮写真を部屋の壁一面に貼り、あまつさえベストショットと言いながら写真を引き延ばしポスターにしている人を変態と言わずしてなんというのでしょう。一般人が行えば犯罪ですよ?」
「竹中、お前は馬鹿なのか?身内なのだから犯罪になるわけなかろう」
「なるわボケ‼‼‼」
え?こいつら何言ってんの?お前ら2人とも馬鹿だろ。つーか、その写真全部燃やせよ。何に使うんだよ。
「あのですね、まず、その写真とやらはすべて今日中に処分をお願いします。いえ、しなさい。」
「なぜ?!私の唯一の娯楽を奪うのだい?多忙な日々も桜と麗羅の写真を眺めることで乗り切ることができるというのに。
君は近江財閥を破滅に追い込むつもりかね?そんなことしていいと思っているのかい?どれだけの家族を路頭に迷わすことになると思う?」
…何をそんな真剣な顔で言っている?
「ごほん、あー・・・、麗羅、とりあえず話を戻すとしよう。」
私の冷ややかな視線に平静を取り戻したのか、わざとらしい咳払いの後、居住まいを正した。