桜琳学園(仮)
うん。何も解決してないけどね。
「とにかく、その水色のカードキーはブラックカードと同じ機能を持っている。学園内でのカードキーを使用しての支払いはすべて学園の口座から引き落とされることになっている。また、そのカードはクレジットカードとしても機能している。
学園外で使用も可能となっているが、その際の引き落とし口座は私の口座だ。好きに使うといい。
それと、特待生の君の特典だが、先ほどから言っている通り、学園生活においての費用の免除のほかに寮は1人部屋であること、出席日数の免除がある。
ただし、君の場合学力での特待生。基準を満たせないようであれば、もちろん権利は剝奪されることとなる。
基準は学内の定期試験において全教科9割以上の得点を維持すること。
ここまでで質問はあるかな?」
「特待生については理解しました。定期試験で1度でも失敗すれば即権利剥奪ですか?」
「いや、それはあまりにも酷だからね。再試験を受けてもらうことになる。もちろん問題は難易度を上げて作り変えることになるが。そこで9割以上の得点を取得してもらうことになる」
「なるほど、あと、カードの学園外での使用時の支払いについてですが、それは特待生だからですか?それとも身内だからですか?」
疑問点について淡々と述べていく私に対し、理事長も淡々を返答していく。
「身内だからだ。私は君を甘やかしたいと思っている」
「…結構です」
「納得してくれてうれしいよ。いくらでも使ってくれていいからな」
…え?人の話聞いてる?
なんだろうこのイラっとさせる感じは。この人絶対馬鹿だよね?きっと近江財閥って裏で誰かが操っているんだよ。そうだ、この竹中さんが糸を引いているじゃ?こんなバカな人があんな大きな会社を動かしているなんて思えない。
「…私はいらないと言っているんです。それと、これお返しします。」
鞄の中から出した通帳と印鑑を机の上に置く。まぎれもなくそれは、母から預かった通帳。この人、近江繁が振り込んでたお金が記帳されている通帳だ。
「なんだい?これは・・・。これは君たち親子に渡したものだ。それはもう君たちのものだよ。しかし、一度も手を付けてなかったなんて。驚いた。さすが、桜。私の娘なだけある」
誇らしげに通帳の中を見ながら私に返してきた。それを受け取らず、祖父をただ見つめ返す。