イジワル社長と身代わり婚約者
「昨晩、君が簡単にギブアップするからだよ。まだ足りない」
黒河社長はそう言い、キスをねだった。
私は記憶を必死に取り戻そうとしていた。けれど、濃密なキスに翻弄されて、何も考えられなくなっていく。
黒河社長の唇がついと離れ、掴んでいた手を離すと、彼は私の胸にキスを注いだ。
彼の濡れた舌がねっとりと尖った先端を舐めていく。形が変わるぐらい胸を揉みながら、中心で蕾んでいる頂きに丹念に舌を這わせ、そして強く吸いあげた。
「はぁっんっ……やぁ……っ」
私の体はビクンとはねあがり、その度に愛撫は激しいものになる。
「ダメ、といいながら、感じてる」
黒河社長が私を見上げる。私の胸は彼に愛されて興奮していた。心臓の音がどくどくと早鐘を打って、乱れた私の身体は熱を持ち、とても敏感になっている。
「この先は、どうなっているんだろうね?」
黒河社長は言って、私のみぞおちからお臍のあたりまで、つっと指を這わせた。
「やっ……ん」
彼の指を感じて、秘めた場所がじくじくと疼きだす。分かってる。きっとそこは溢れるほど蜜を湛えているに違いない。
彼の挑発的な視線を感じて、私はいやいやとかぶりを振る。きっと見透かされてしまっている。