クールで無愛想な彼氏
「少しひねっただけだから...とりあえず、5時間目だけここで安静にしてなさい」

「ありがとうございます」

保健の先生に手当てをしてもらうと、私は静かにベッドに横になった。


「未央...大丈夫か?」


「うん大丈夫だよ。ありがとね、裕太」


私はそういいニコっと笑った。


「俺はいいけど...「1年生の子には!...なにもしないでね?」


「...あぁ、分かったよ」

「ありがとうっ!」


「佐久間君は、授業に戻りなさい。そして帰りに又、桜井さんのこと迎えに来て頂戴ね。私ちょっと用事があるもので。」

「あっはい、分かりました。...じゃーな、未央」

「うん、帰りね?」


そして裕太を見送ると、私は天井を見上げた。




脳裏に浮かぶのは...さっきの1年生の子。


ずい分、急いでたんだな。


まぁ、裕太もなにもしないでおくって言ってくれたんだし


私が心配するようなことじゃないよね。


1人になった保健室で私が、こっそり携帯を開いたとき-


『ガラ』


ドアが開く音がして、私は咄嗟に携帯を布団の中に隠す。



....だれだろう?


先生は出かけたはずだしな....。


すると...聞き覚えのある声が、耳に響いた。


「いってぇ...」


....この声って。


私は足の痛みなど忘れて、ベッドから降りカーテンを開けた。


『スッ』

するとそこには-


「...さっきの」

「あぁっ!」

ズボンを膝まで巻く利上げ、痛そうな顔で私を見上げる....


彼だった。


彼は私を見るなり、慌てたように出て行こうとした。


「ちょっとまって!」


なんでだろう....私はそんな彼を引き止めていたんだ。


「なん...スか?」

どっどうしよう....

引きとめたはいいケド...特に話題もない。

「あっ足!痛くない?」

私は血が出ている足を指差した。


すると彼は気まずそうに下を向く。

「手当て!するから...ココ座って!」


私は、自分でも驚くぐらいに積極的だった。


なんでだろう???

でもなんだか、今の自分を止めてはいけない気がしたんだ。

ひねった足を引きずりながら


私は救急箱に手を伸ばした。


でも

「いいっスよ!俺取りますから!」

「えっ」

彼が私の手から救急箱を取ると

近くにおいてくれた。

「あっありがとう」


そして私は中から道具を出し、彼の足に消毒をしばんそうこを貼った。

「よしっこれでOK」
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