お嬢様の恋愛事情
その男は、あたしを見るなり申し訳なさそうな顔で両手を合わせた。
私はコンクリートに座っていたので慌てて立ち上がった。
「遅れてゴメン!待った?!」
「え、ううん!大丈夫だよ。」
この男、よく見るとカッコよく見える。髪は茶髪なのに全然、チャラそうには見えない。
「急に呼び出してゴメン!」
再び改まったように謝る男の人。さっきから謝ってばっかりだな、この人。
「用事とかなかったから気にしないで!えっと・・・名前は?」
名前を聞くのには抵抗があった。同じ学校で同じ学年なのに名前を聞くのは失礼だと思ったから。
だけど、このまま名前を知らないでいる訳にもいかない。