お嬢様の恋愛事情
「お嬢様、今から徒歩で学校に向かっても間に合いませんよ？僕が送ります。」


呑気に朝食を食べている私に翔は焦っていた。

でも、こんな所で翔に心配され学校まで送ってもらうなんてとんでもない。


「自分で行くから大丈夫だよ。ちゃんと間に合う様にするから、心配しないで！」


翔の心配と優しさはとても嬉しいけれど正直言うと複雑だ。
だって･･･車で学校まで送られたらお嬢様だって事が簡単に知られてしまうのだから。

あんな嫌でも目立つ車で学校に行くなんて考えただけでもゾッとする。

それでも翔は困った顔をして「しかし、お嬢様･･･。」と何か言いたそうにしている。

でも私はそんな翔を無視して素早く朝食を済ませ、制服に着替えて、髪をセットして支度を済ませた。

本当は無視なんかしたくなかったけどお嬢様だってバレる方が嫌なんだ。

今日の所は、翔許してね。


「お嬢様、もう朝ご飯は食べないのですか？それだけでは、お昼までもちませんよ！」


玄関で靴を履いている私に驚いた様子で問いかけてくる翔に笑顔で答える。


「大丈夫！遅刻するから行くね。いってきます、翔！」


玄関の横の壁に掛けてある時計で時間を確認して急ぎ足で学校へと向かう。
< 3 / 340 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop