お嬢様の恋愛事情
1時間目の教科の用意をしていると突然後ろから聞こえた声。


「如月、また遅刻じゃん!」


すぐさま振り返ると、心臓がドクンと跳ね上がるのが自分でもわかった。
だって好きな人なんだもん。

これが私の好きな人こと、中村竜貴は私のただの片思い相手だ。


「うん、寝坊しちゃって・・・。」
「如月、遅刻しすぎ。」


笑顔で言う竜貴に私も「竜貴もでしょ!」と反抗した。
でも、そんな私を見て竜貴は笑っていた。

やっぱり私はただバカにされているんだろうな。


「相変わらず仲良いねぇ。」


聞こえた声は、明らかに竜貴ではない明るい声。
その声の主は親友の麻美だった。
麻美の顔はニヤリと怪しい笑顔を浮かべている。
こんな笑顔を浮かべる時の麻美は友達ではなく私の敵になる。
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