記憶の向こう側
毛並みは艶やかで白くて、目が丸くて、くりくりとかわいい視線は、私をとらえて放さないようだった。
私は…その子犬に見覚えがある気がした。
「…コロ?」
そう口にした途端、自分自身がびっくりした。
コロ??
なんでこの犬を見て「コロ」って思ったんだろう?
初めて見た犬のはずなのに…。
子犬は、私の元から離れない。
よほど居心地がいいみたいだった。
だけどよく見ると、この犬には赤い首輪が付いている。
誰かの飼い犬みたい…。