記憶の向こう側
piece6:過去との再会
数日後、また検診の日が訪れた。
もうすっかり通い慣れて、病院での手続きも手慣れたものになってしまった。
顔馴染みの受付のおばさんと軽く会話をして待合室の椅子に座り、呼び出しを待っていたら、梓さんの姿を見つけた。
「梓さん!」
梓さんはいつもの優しい笑顔で、私の座っている方まで来てくれた。
「叶恵ちゃん。こんにちは。」
「こんにちは。」
「今日も検診?」
「はい。」
「仕事また始めたんでしょ?無理してない?」
「はい、もうだいぶ慣れました。」
今日で、何度目の検診だろう…?
記憶が戻る気配はあれから全然ないけど、気持ちはかなり落ち着いたように思う。
勇樹や梓さん、島川先生、女将さんが見守ってくれるおかげかな…?