記憶の向こう側




「杏子!」





肩を掴まれた。




…とても強い力だった。





「きょうこ…?」




…誰?それ


…私のこと、なの?





私の難しい表情を見て、彼は悟ったようだった。




「俺のこと、覚えてないのか…?」



「…あなたは…?」



「杏子…。嘘だろ…?」




彼は私の肩を掴んだまま、がっくりとうなだれてしまった。





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