記憶の向こう側
うっすらとした意識の中、私に話しかける人物の声が聞こえた。
「あ、気付きましたか?ここは病院ですよ。あなたは交通事故に遭って…。」
…病院?
…事故!?
訳の分からない単語に、私の意識は目覚め始めた。
私に顔を近付けてきたその女性は、ゆっくり穏やかに微笑んだ。
「そう、身元を証明するものを持たれてなかったようで。お名前、教えて頂けますか?」
看護師さん…?
だよね?
白いナース服がよく似合う、素敵な女性に尋ねられたけど…
名前…。
なまえ??
私の名前、なに?