記憶の向こう側
梓さんと島川先生が病室に入ってきた。
「叶恵ちゃん!先生連れてきたよ。」
すると、勇樹が驚くべき速さで島川先生に近付いた。
「大変だ!叶恵、全部思い出してるぞ!」
「え…?」
勇樹の放った一言に、先生と梓さんが驚いた。
「本当に…?では軽く質問するから。」
そう言いながら島川先生は、慌ててカルテの準備をした。
「まず、君の名前は…?」
私は、落ち着いてゆっくり答えた。
「松野杏子(まつの・きょうこ)です。今は田島叶恵と名乗っています。」
「家族は…?」
「父と母と私の、三人家族です。」