記憶の向こう側
まだ少し震える身体を、敬太の温かい身体が包んでくれている。
敬太の優しい声が、幸せなまどろみの中、聞こえた。
「杏子…。ずっとこうしたかった。」
「敬太…。」
「杏子…、初めてだったんだろ?」
「うん。」
「痛かったろ?」
「ううん、嬉しかった…。」
「俺も、嬉しかった。…実は俺も初めてなんだよね。」
「…え?」
「付き合ったのは、麻優だけだったけど、麻優とはキス止まりで何もしてない。ずっと俺は、杏子としか…」