記憶の向こう側





まだ少し震える身体を、敬太の温かい身体が包んでくれている。




敬太の優しい声が、幸せなまどろみの中、聞こえた。




「杏子…。ずっとこうしたかった。」



「敬太…。」



「杏子…、初めてだったんだろ?」



「うん。」



「痛かったろ?」



「ううん、嬉しかった…。」



「俺も、嬉しかった。…実は俺も初めてなんだよね。」



「…え?」



「付き合ったのは、麻優だけだったけど、麻優とはキス止まりで何もしてない。ずっと俺は、杏子としか…」





< 304 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop