記憶の向こう側
それから数日経った夜。
コンコン。
突然私の部屋の窓が叩かれる音が聞こえた。
何だろう…?
私は恐る恐る窓を小さく開けた。
すると…
「敬太…。」
敬太が家の前から、小さな石を窓にぶつけていたようだった。
「杏子!ごめん、遅くなって…。迎えにきた。」
「え…?」
迎えに…って、
でもお父さんを説得できたの?
「二人で、誰も知らない所で暮らそう。」
それって…
駆け落ち!?
「敬太…。」