記憶の向こう側
敬太のホッとした顔を確認して、私もゆっくり肩をなでおろした。
「敬太…。ずっと、私を探してたの…?」
「ああ。杏子のお父さんもお母さんも心配してる。家に…、帰ろう?」
「でも…、敬太は家に出入り禁止じゃ…?」
だけど敬太は、私の心配を振り切るような笑顔を見せた。
「俺が無事な杏子を見つけ出せたら、杏子と結婚を前提に付き合っていいって許可をもらった。説得するの、すごい大変だったけどな…。だから、退院したら一緒に帰らないか…?」
「敬太…。」
うそ…
やっと私達、堂々と会えるの…?